科研費(文科省・学振・厚労省)獲得実績 - 平野 羊嗣
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数理と臨床の共創による精神疾患サブタイプのヒト病態メカニズム解明
研究課題/領域番号:JP24wm0625302 2024年04月 - 2029年03月
日本医療研究開発機構(AMED) 脳神経科学統合プログラム(Brain/MINDS 2.0) 個別重点研究課題 チーム型A
小池進介, 平野羊嗣, 池亀天平, 中島振一郎, 高橋努, 仲地ゆたか, 岩見真吾
担当区分:研究分担者
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神経同期活動を軸にした統合失調症の橋渡し研究:病態解明と新規治療法開発にむけて
研究課題/領域番号:21H02851 2021年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(B)
平野羊嗣*
担当区分:研究代表者
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脳構造と脳機能から精神疾患を再分類する取り組み:5カ国国際共同研究 国際共著
研究課題/領域番号:20KK0193 2020年10月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費基金 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
平野 羊嗣*, 小池 進介, 中島 振一郎, 笹林 大樹, 森島陽介, Kevin Spencer, Martha Shenton, Daniel Mathalon, Mallar Chakravarty, Ariel Graff-Guerrero
担当区分:研究代表者
本国際協同研究は、精神疾患の共通性/異種性バイオタイプ開発を視野に入れた、アジア発の精神疾患の脳構造(ACMP)および脳機能(ACEP)研究の拠点構築を目標とする。本研究により『脳構造と脳機能から精神疾患を再定義』することで、精神疾患全体の本質的な理解と治療法の再構築を目指す。参画施設が大学病院であるため、今年度もCOVID-19感染拡大による多大な影響を受けたが、各々の指針に従いながら、随時実験を再開し、WEB会議やWEB上でのデータ収集とその解析を行うことで、ある程度予定していた研究を進めることができた。各自の実績は以下の通り。
<平野>海外の脳波関連の共同研究施設とはWEB会議で連携しつつ、臨床脳波を用いた国内の共同研究(7施設)に関する統括およびデータ収集、解析パイプラインの構築を完成させた。また、本研究に関わる論文15本を国際専門誌に投稿し受理された。
<小池>ACMPはアジア諸国との共同研究であるためCOVID-19により遅延しているが、ようやく参画7施設の脳構造データと臨床データを取りまとめ、現在前処理を一括して行っている。2022年度にデータ配布を開始する予定である。また、WEBシンポジウム等積極的に行い、本研究に関わる論文20本を国際専門誌に投稿し受理された。
<中島>ACEPにおいて、90名の被験者のデータの収集を行い、解析パイプラインの構築を確立し、最終解析を終えた。治療抵抗性統合失調症におけるASSRの異常を明らかにし、発表のために執筆の段階に進んでいる。また、本研究に関わる論文26本を国際専門誌に投稿し受理された。
<笹林>ACMP内の2つの研究計画に関する臨床データを各参画施設から収集し、データの統合を行った。今年度より自施設もACEPに参画し、データの収集と解析パイプラインの構築を開始した。また、本研究に関わる論文13本を国際専門誌に投稿し受理された。 -
統合失調症発症前後の脳画像機械学習と計測最適セットの提案:アジア多施設共同研究
研究課題/領域番号:19H03579 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)[分担] 基盤研究(B)
小池 進介, 笹林 大樹, 平野 羊嗣
担当区分:研究分担者
本研究の目的は、アジア精神病MRI研究コンソーシアム(ACMP)を運営し、初発統合失調症および統合失調症ハイリスク群(ECS)を対象にした大規模脳画像解析体制を構築すること(研究①・小池)、大規模マルチモダリティ脳構造画像によるECSの病態解明(研究②・笹林)、MRIと脳波MMN/GBOを用いたECSの病態解明(研究③・平野)、脳画像によるECSの予後予測に用いる機械学習(研究④・小池)を行うことであった。研究①は新型コロナウイルス感染症拡大による遅延が大きかった。研究②―④は当初の計画通り、一部計画を超えて進めることができ、多くの学術成果が得られた。
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統合失調症の情動制御障害に関する神経同期活動異常の同定
研究課題/領域番号:18K07604 2018年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)[代表] 基盤研究(C)
平野羊嗣*
担当区分:研究代表者
統合失調症は、自我障害や幻覚・妄想に加え、著しい認知機能障害や情動面の制御の障害を有し、重篤な社会機能の障害をもたらす難治性精神疾患であるが、いまだその病態生理すら十分には解明されていない。現在、ガンマ帯域神経振動と知覚や認知機能との関連を示す知見はあるが、我々が知る限り、情動の制御に関する報告はない。さらに、統合失調症患者における情動制御異常の病態生理は殆ど解明されておらず、簡単な心理実験やfMRI研究から、前頭前皮質が情動制御やその異常に関連するとの知見はあるが 、msec orderの脳活動を反映している脳波や脳磁図を用いた周波数解析の研究はなされていない。
本研究のテーマでもある、“統合失調症の重篤な社会機能障害の原因でもある情動制御障害の病態に、ガンマ帯域神経振動異常が関わっている”との病態仮説を検証すべく、初年度は、実験系のセットアップならびに被験者のリクルートを開始し、まず健常者を対象に、脳波で予備的研究を行い、情動を制御(抑制)する際の、前頭部のガンマ帯域神経振動の変化を計測し、その解析を行った。その結果、情動制御時に前頭部のガンマ帯域神経振動が大きく変化することが示唆された。その結果の一部は、国内外の学会(SIRS2018、International Conference on Biomagnetism 2018、Annual Meeting of JSBP 2018、International Consortium on Hallucination Research 2018など)で発表した。また、上記予備的研究と並行し、脳波とfMRIの同時測定のセットアップも行い、同時測定の予備データの記録も開始した。 -
初発統合失調症とハイリスク群におけるγ帯域皮質活動異常の包括的解明
研究課題/領域番号:15K09836 2015年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)[代表] 基盤研究(C)
平野羊嗣*, 神庭重信, 鬼塚俊明, Kevin Spencer
担当区分:研究代表者
本研究によって、音に対する早期の脳内情報処理に関わるガンマ帯域皮質活動(ガンマオシレーション)が、初発統合失調症では発症後に進行性に障害されることを発見した。さらに、前駆状態を含むハイリスク群では、その進行性の障害が認められなかった。これにより、統合失調症の発症後に、既知の進行性の脳構造異常に加え、進行性の聴覚情報処理に関わる脳機能異常が生じていることが示唆され、統合失調症の進行性の神経発達障害仮説を裏付ける重要な知見が得られた。
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研究課題/領域番号:22791129 2010年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)[代表] 若手研究(B)
平野羊嗣*, 神庭重信, 鬼塚俊明, 笠井清登, Spencer Kevin, McCarley Robert
担当区分:研究代表者
統合失調症の幻聴の神経基盤を解明するために、幻聴や聴覚-視覚情報の統合に関連した神経活動を、神経生理学的手法を用いて多角的に検討した。その結果、幻聴の神経基盤に、聴覚、視覚、および聴覚-視覚統合時のγ帯域の神経同期活動の異常が関与していることを明らかにした。この結果は、今後の統合失調症の診断、治療ならびに病態解明に寄与するものと考えられる。
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MRIと脳波による統合失調症とてんかん性精神病の皮質病態・E/Iバランスの解明
研究課題/領域番号:24K10708 2024年04月 - 2027年03月
独立行政法人日本学術振興会 科学研究費基金 基盤研究(C)
担当区分:研究分担者
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神経同期活動を軸にした統合失調症の橋渡し研究:病態解明と新規治療法開発にむけて
研究課題/領域番号:23K21414 2024年04月 - 2025年03月
独立行政法人日本学術振興会 科学研究費基金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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統合失調症者の言語性幻聴緩和のためのニューロフィードバック支援法の開発
研究課題/領域番号:23K06794 2023年04月 - 2026年03月
独立行政法人日本学術振興会 科学研究費基金 基盤研究(C)
光藤崇子, 田村俊介, 平野羊嗣
担当区分:研究分担者
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音声と音楽に対する神経振動帯域間相互作用の解明とその障害
研究課題/領域番号:20K12572 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)[分担] 基盤研究(C)
光藤 崇子, 平野 羊嗣, 田村 俊介
担当区分:研究分担者
音声信号や音楽信号には様々な速さの時間変動成分が含まれており、それらを正しく知覚するためには複数の時間変動成分の情報を瞬時に抽出し統合することが重要である。また、音声や音楽を聴取する際にも音の時間変動成分に同期して生じる様々な周波数帯域の神経振動が起こることが知られており、これまで個々の神経振動と音声・音楽知覚の関連が調べられている。しかしながら、複数の帯域の神経振動がどのように相互作用し、音声・音楽知覚に貢献するのかについての知見はほとんど存在しない。本研究では、空間分解能に優れるfMRIと時間分解能に優れる脳磁図を組み合わせ、音声・音楽刺激聴取中の神経振動の帯域間相互作用を解析することで、聴覚時間情報処理に係る脳内機構を解明する。令和3年度は、健常者を対象として音声・音楽刺激の持つ時間微細構造と振幅包絡成分に同期する神経振動とそれらの相互作用を脳磁図(MEG)を用いて計測した。また同一参加者のMRIを撮像し、脳磁図で得られた脳活動の電流源を推定することで神経活動源を検証した。実験では、26名の参加者に対し、ピッチのみで構成される刺激、音声のみで構成される刺激、ピッチに音声を付した音声・音楽合成刺激を提示し、脳磁図を計測した。
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多言語音声知覚における脳内リズムと意味理解
研究課題/領域番号:19H00630 2019年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) [分担] 基盤研究(A)
上田 和夫, 平野 羊嗣, 松尾 行雄, Remijn Gerard, 竹市 博臣, 光藤 崇子, 中島 祥好
担当区分:研究分担者
局部ランダマイズ(局所的に時間順序をランダムに入れ換える)モザイク音声の実験を,中国語に拡張した。音声の周波数分解精度はヒトの最大限(20帯域)に固定し,全ての周波数帯域に同じ時間分解精度(3段階:20, 40, 80 ms)を設定した実験を行った。それぞれの時間分解精度ごとに,平均化区間長を 40, 80, 160 ms の 3 段階に設定し,平均化区間内で局部ランダマイズを行った。区間長 40 ms の条件を除いて,局部ランダマイズ・モザイク音声の明瞭度が常にモザイク音声の明瞭度を上回ること,局部ランダマイズ・モザイク音声の明瞭度は,時間分解精度による影響をほぼ受けないといった結果が,中国語でも再現された。さらに,Ueda and Nakajima (2017) の 4 帯域それぞれについて,帯域ごとに局部時間ランダマイズを行う実験を日本語で実施した。すると,全帯域で同期してランダマイズを行った場合と比べて明瞭度が低下し,同じ区間長のモザイク音声と近くなった。これらの結果は,二重時間窓仮説を支持する。
また,周波数帯域ごとに断続を交互に行う劣化音声(「市松音声」)を作成し,明瞭度を測定する実験を実施した。この音声では,常に原音声の半分が失われる。実験結果は驚嘆すべきもので,20 帯域の市松音声は常に 100% 近い明瞭度が区間長にかかわらず得られたのに対し,2 ないし 4 帯域の市松音声は,区間長 160 ms で明瞭度が 40% 程度まで低下し,320 ms では 50% 程度まで復活した。この刺激の変調パワースペクトルを計算し,明瞭度測定実験が音声言語知覚研究で占める位置づけを明らかにした。音声言語知覚における二重時間窓仮説の検証に向けて,モザイク音声聴取時の脳磁場計測実験を実施した。局部時間反転キメラ音声を用いた明瞭度の実験も実施し,論文を投稿した。 -
神経症傾向と感情制御・健康との関わり:社会・生物の二項対立の超克へ向けて
研究課題/領域番号:17H02624 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)[分担] 基盤研究(B)
内田 由紀子, 平野 羊嗣, 神庭 重信
担当区分:研究分担者
本研究の目的は、神経症傾向のの適応価が行動調整傾向の強弱に応じて変動するかを検討することである。負の情報へ行動調整傾向とは、負の情報への敏感性を促す性格特性で、疾病・精神疾患などの不適応症状の予測因子であるとされる。一方で神経症傾向は、さまざまな危険・脅威を効率的に検知することを可能にする。従って、自らの行動を柔軟に調整し周囲に合わせる傾向が高い場合には、神経症傾向は適応的になり得るであろう。適応の指標としては、脳誘発電位を用いて測定する感情制御能力を用いる。
2018年度には実際の実験を実施した。京都大学の学生50名を対象にした調査として実施した。脳波測定には電位変化を脳波として測定する64チャンネル脳波計(BIOSEMI Active Two System)を用い、測定時DC~1.6KHzの周波数帯域を増幅記録した。参加者は、脳波計を装着し、実験室で脳波を用いた感情制御の課題を遂行した。本研究では、1500-3000msでのLPPの電位をもってLPPの抑制の程度の指標とした。国際的に広く使われている「International Affective Picture System (IAPS)」より、強度(arousal)と不快度(unpleasantness)がともに高い画像60枚と、強度が低く、不快でも快でもない画像60枚を選択して用いた。「注意条件」では、画像をみて、自然に生じる感情反応に注意を払うように教示し、「抑制条件」では、画像を見て自然に生じる感情反応を抑え隠すように教示した(被験者内要因)。最後に神経症傾向などを調査する質問紙に回答した。
これらの実験データの解析と基礎処理を現在実施している段階である。 -
研究課題/領域番号:16K10217 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)[分担] 基盤研究(C)
鬼塚 俊明, 平野 羊嗣, 平野 昭吾, 中村 一太, 平河 則明, 久我 弘典, 中西 翔一郎, 髙橋 潤一, 北島 和俊
担当区分:連携研究者
誘発auditory steady-state response (ASSR)は主に抑制性の神経機能を反映し、自発ガンマ活動は主に興奮性の神経機能を反映していると考えられている。
全頭型脳磁計を用いて統合失調症54名、双極性障害32名、うつ病22名、健常者62名のASSRを記録し、解析を行った。本研究の結果からは、統合失調症では、興奮性・抑制性神経機能のバランスの障害が顕著で、双極性障害はその程度が軽いが統合失調症に近いパターンであり、うつ病は興奮性・抑制性神経機能のバランスの観点からは、健常者に近いと思われた。 -
研究課題/領域番号:16K19772 2016年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)[連携] 若手研究(B)
中村一太, 平野羊嗣
担当区分:連携研究者
幻聴は統合失調症者の主症状の1つであり、社会生活機能障害と強い関連が示されている。また、幻聴を持つ統合失調症者の研究では、幻聴症状の程度と種々の聴覚刺激誘発成分とに相関を認める一方で、間欠的な幻聴をもつ統合失調症者の幻聴の開始、終了に関わる即時的な神経活動の変化について未だ明らかになっていない。
本研究では、幻聴体験による自発脳活動およびγ帯域聴性定常反応(ASSR)の即時的な変化について検討を行い、ASSRの早期成分が幻聴体験の有無によって変化する可能性を見出した。今後はさらに大サンプルでの検討を行う事で、幻聴体験の発生に関わる病態解明に繋がると考えられる。 -
気分障害における聴性定常反応(ASSR)のγ帯域同期性機能活動に関する脳画像研究
研究課題/領域番号:25861044 2013年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)[連携] 若手研究(B)
久我 弘典, 上野 雄文, 織部 直弥, 神庭 重信, 鬼塚 俊明, 平野 羊嗣
担当区分:連携研究者
双極性感情障害とうつ病性障害の違いを明らかにするために、低周波数、高周波数γ帯域刺激に対する聴性定常反応(ASSR:Auditory Steady State Response)を用いて、脳機能を検討した。
双極性感情障害患者では、正常対照者・うつ病性障害患者に比べ、特異的に40Hzの神経活動同期に障害を認められた。また、帯状回におけるBOLD反応の異常が関与していることも示唆された。精神疾患の科学的鑑別診断に、このような客観的指標が有用である可能性がある。