論文 - 立元 真
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小学校高学年におけるレジリエンス向上の試み ―小学校高学年向けプログラムの効果検証― 査読あり
立元真・髙橋智子・中島寛・加藤博之・東迫健一
宮崎大学教育学部紀要 ( 102 ) 152 - 161 2024年3月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
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中学校の生徒指導上の危機状態に対し スクールワイド行動支援で立て直しを図った事例 ―第1層支援を中心とした導入の効果― 査読あり
立元 真
日本学校心理士会年報 17 105 - 114 2025年3月
担当区分:筆頭著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本報告は,ある中学校において3年生の1学級に学級がうまく機能しない状況が発生し,学年内・学年間に波及しつつあった危機的な状況に対して,学校全体の規模でのポジティブ行動支援の第1層支援を中心に緊急の対処として適用した実践事例を示す。教員集団が,基本となる行動学習の理論への理解を深め,策定したポジティブ行動マトリクスに示された内容にそって生徒たちにポジティブな方法で日常的に教示することによって,生徒たちの,友達関係,教師との関係,学級との関係の面での学校適応感が改善され,また,周囲の仲間や先生から気にされていると感じるようになった。この結果,学校の危機的な状態は,短期間で解消された。
緊急的な介入として用いたポジティブ行動支援であったが,困難な状況を緩和する効果から,生徒たちの社会的適応の発達を支え,穏やかに学び活発に活動する場を保証する発達支持的な生徒指導を具現化するシステムとしての価値が考察された。 -
中学校におけるスクールワイドの一斉支援の効果 ― PBIS 導入過程2 年目における生徒の適応感― 査読あり
矢野 秀平,立元 真
宮崎大学教育学部紀要 104 114 - 123 2025年3月
担当区分:責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:宮崎大学教育学部
中学校において,学校規模のポジティブ行動支援と介入(SWPBIS)を導入するプロセスの一環として教員への研修を行い,それに引き続いて各学級単位で生徒たちへの介入授業を行った。
3 回の研修を受けた教員たちは,日常の指導や介入授業を行っていく中で,「生徒をほめよい関係を構築するスキル」,「生徒を動機づけるスキル」と,「計画的な指導スキル」の日常の使用が高まったことを報告した。また,生徒たちは「教師サポート」,「向社会的スキル」,「学習的適応」および,「対人的適応」が高まったことを報告した。
ポジティブ行動支援のスクールワイドの導入過程において,教員スタッフが指導スキルを確認し介入授業や日常の指導などで成果を挙げることが,教員の教職スキルの向上と生徒たちの学校適応感の向上に望ましい影響を及ぼし,ポジティブ行動支援の導入のプロセスをアシストしうる1 事例が示された。 -
幼稚園におけるスクールワイドPBS導入の効果 ―導入半年間における幼児の変化―
髙橋 京子, 立元 真, 鎌田 麻里, 植野 真都佳, 境 泉洋, 尾之上 高哉
宮崎大学教育学部附属教育協働開発センター研究紀要 33 1 - 10 2025年3月
担当区分:責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:宮崎大学教育学部附属教育協働開発センター
幼稚園において,学校規模のポジティブな行動支援と介入(SWPBS)を導入するプロセスの一環として,教員への研修を行いつつ,ポジティブ行動マトリクスを作成し,園ぐるみで行動学習の支援を開始し,その初年度前半の成果を検討した。教員が自己評価した応用行動分析の基礎知識の得点は有意に向上し,保育者養育スキルは良好な水準を維持していた。幼児の社会的行動は,すべての下位因子において有意な改善を示し,保護者評定による幼児の社会的園適応の得点もまた有意に向上していた。SWPBS 導入の初年度としては順調なスタートを切ることができた。
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中学校での教職スキル研修が生徒の学級適応感に及ぼした効果 ―学級がうまく機能しない事態への対処を試みた事例― 査読あり
立元 真, 岩崎 香恵, 東迫 健一
宮崎大学教育学部附属教育協働開発センター研究紀要 32 1 - 14 2024年3月
担当区分:筆頭著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:宮崎大学教育学部附属教育協働開発センター
中学校の 2 年次の 2 クラスにおいて発生したいわゆる“学級がうまく機能しない事態”に際して,3 学年全ての常勤の教員に対して教職スキル向上のための研修教材を用いた約 2 か月間の遠隔型 OJT を行った。教員の自己報告による教職スキルは,統計上,改善も悪化も示さなかった。他方で,生徒が自己報告した QU の結果では,第 2 学年の全サンプルでは,介入開始以前の時点で承認得点が相対的に低かった生徒たちの承認感が向上し,また,被侵害得点が相対的に高かった生徒たちの被侵害感を低下させるなどの効果が見られた。“学級がうまく機能しない事態”にあったクラスにおいては,1 クラスでは,承認感が低い,あるいは侵害感が高いといった状況にあった生徒たちの得点が改善された。もう 1 つのクラスでは,逆に,あらかじめ承認されていないと感じていた生徒たちの被侵害感をさらに高め,その結果,クラス全体の被侵害感も高めてしまう結果となった。教員の研修を支え,問題事態を予防あるいは改善するシステムの在り方が考察された。
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中学校における学級がうまく機能しない事態に対処した1事例-臨床発達的な分析と教師の教職スキル研修を中心とした試行-
立元 真
宮崎大学教育学部附属教育協働開発センター研究紀要 31 1 - 11 2023年3月
担当区分:筆頭著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:宮崎大学教育学部附属教育協働開発センター
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乳幼児期の子どもを持つ母親のメンタルヘルス向上のための介入― 乳幼児版ペアレント・トレーニングプログラムの試行 ―
立元 真 , 川瀬 隆千 , 野崎 秀正 , 後藤 大士 , 岩切 祥子 , 坂邉 夕子 , 岡本 憲和
宮崎大学教育学部紀要 97 208 - 217 2021年8月
担当区分:筆頭著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:宮崎大学教育学部
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高校生のキャリア教育と教員養成に関する一考察 ― 教員の資質・能力を育てる ―
立元 真
宮崎大学教育学部紀要 104 124 - 132 2025年3月
担当区分:筆頭著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:宮崎大学教育学部
たんに職業に到達すればよいというだけではなく,職業的自立を視野に置きつつも,もっと大きな「人としてどう生きていくか」という大枠での問題解決をめざしつつ,職業やその他の属性を選択し調整していくとするやや小枠でありながら人生の中で重大な問題解決という視座で,高等学校の教員がキャリア教育を実践していくための教員の能力の育成の在り方について論じた。キャリア教育の昨今の歴史,キャリア教育で身につけさせる「基礎的・汎用的能力」,高校生の時期のキャリア教育に求められる発達を意図した内容,その中核としての,『問題解決の試行の繰り返しによる,問題解決思考能力の育成を介した,問題解決志向の向上』という考え方,さらに,キャリアカウンセリングの実践の視点で,高校教員として身につけさせておきたい教育内容について考察を展開した。
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小学校における学級崩壊 ─ 小学校教員への半構造化面接から ─ 査読あり
立元 真, 境 泉洋, 尾之上 高哉
宮崎大学教育学部紀要 103 102 - 113 2024年9月
担当区分:筆頭著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:宮崎大学教育学部
小学校における学級崩壊の理解と対処の方向性を見出すことを目的として事例を収集した。A市内の小学校に勤務経験がある22 名の小学校教諭を対象に個別に半構造化面接による調査を行った。担任教員のスキル,レジリエンス,児童の特性,学校内外の支援に関するあらかじめ設定された大枠の質問および,児童の特性を示した絵図を示しながらインタビューを行った。
「反抗・挑戦タイプ」や「多動・暴走タイプ」の児童が引き金となり,教員が注意を奪われている状況に際して,「日和見タイプ」の児童が荒れを促進する方向で参入して大きな集団となり,収拾が困難になっていく一定のパターンが見出された。児童の特性を早く見出し,特性をカバーしたり活かしたりする開発的な支援を行う,教師・学校のスキルやシステムの必要性が考察された。今後,QU やアセス等また児童の教室適応の教師評定などの客観指標との比較により,発生のリスク要因を整理し,問題事態を予防するための指標と具体策を見出していきたい。DOI: 10.34481/0002000789
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小学校低学年児童のための学校適応感尺度
立元真 , 牟田忍, 安治川洋平, 安田和人, 津村美穂, 松本宇宙, 松田奈緒子
宮崎大学教育学部紀要 100 172 - 181 2023年4月
担当区分:筆頭著者 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
385名の小学校1・2年生の児童の回答をもとに,17項目からなる自己報告尺度を作成し,因子妥当性,内的整合性,GP分析による弁別力の確認を行った。下位因子は,担任の先生や友達との関わりから得られた学校や教室への適応としての「サポート感」,学校や教室で学び生活する中で得られた自己についての感覚である「自尊感情」,学校や教室に対する感情的な適応感である「環境適応感」の3因子で構成されている。適応感が低い児童を発見し適切な対応を検討するために,また,スクールワイドPBSやプログラム化された予防開発的な生徒指導の実践などの効果査定のために用いていくことが望まれる。
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小学校における学校規模の積極的行動支援の第1層介入の試行 -児童の学校適応感に及ぼした効果-
立元 真,松本宇宙,矢野秀平,松田奈緒子,濱崎かおり
宮崎大学教育学部紀要 99 ( 99 ) 112 - 120 2022年8月
担当区分:筆頭著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:宮崎大学教育学部
本研究は,小学校においてSW-PBS 導入の第1 層支援の実践を行い,教員自身の応用行動分析に関する知識の変化,および,観察された児童の教室適応行動および児童が自己評定した学校適応感の変化を検討することを目的として行った。SW-PBS のための研修及び実践を通して,教員の応用行動分析についての知識が高まったことが示された。相対的に応用行動分析についての知識の得点が高い教員のクラスにおいて,児童たちの被侵害的関係や対人的適応といった学校適応感を改善し,また,学級不適応行動が改善された。
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育児に悩む母親の公的相談機関への援助要請に影響を及ぼす諸要因 ~援助要請態度を媒介したプロセスの検討~
野崎 秀正,川瀬 隆千,立元 真,後藤 大士,岩切 祥子,坂邉 夕子,岡本 憲和
宮崎公立大学人文学部紀要 28 ( 1 ) 105 - 120 2021年3月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
子育て支援サービスを提供する公的相談機関に対する母親の援助要請に焦点を当て,母親の育児に対する感情(育児感情)と信念(母性愛信奉)が,援助要請態度を媒介して援助要請意図に影響を及ぼす一連のプロセスを示した仮説モデルを検証することを目的とした。宮崎市内及びその近郊にて就学前の幼児(3歳以上)の育児に携わる母親1000名に調査協力を依頼した。質問紙が返送され,かつ回答に不備がなかった470名の回答を分析対象とした。仮説モデルに従い共分散構造分析を行った結果,育児感情及び母性愛信奉から3つの援助要請態度を媒介して援助要請意図に影響を及ぼすいくつかのプロセスが明らかになった。このうち,利益とコストの態度を媒介したプロセスについては,いずれも子どもにとっての利益とコストを媒介したパスが有意であり,母親自身にとっての利益とコストを媒介したパスはいずれも有意でなかった。子育ての悩みに関する母親の公的相談機関に対する援助要請については,母親の精神状態の解決に動機づけられているというよりも,その原因となっている子どもの問題を解決させることに動機づけられていることが明らかになった。こうした結果は,公的相談機関に対する母親の援助要請促進を促すには,援助要請が子どもにもたらすポジティブな影響を強調することや子どもとの担当職員間の良好な関係作りなど,子どもに焦点を当てたアプローチが有効になることを示唆した。
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玉城美千子, 境 泉洋, 立元 真
宮崎大学教育学部紀要 95 ( 95 ) 219 - 229 2020年8月
担当区分:最終著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要) 出版者・発行元:宮崎大学教育学部
本研究においては,保育者が介入者としての訓練を受けて行った入学準備版子育て教
室に参加することが,保護者の養育スキル,ストレス反応,並びに子どもの行動傾向,
問題行動に与える影響を検証した。
2017 年度から2019 年度にかけて宮崎市内の私立幼稚園で行われた入学準備版子育て教
室に参加した34 名の保護者を対象とした。入学準備版子育て教室では,週1 回2時間,
5 回の講座を実施した。対象者には,開始前30 日,開始前,終了後,終了後1 か月の4
回に新版養育スキル,CSB-RS(子どもの行動傾向),保護者のストレス反応,SDQ(子
どもの問題行動尺度)について回答を求めた。本研究の結果,入学準備版子育て教室に
参加することで,保護者の養育スキルが向上し,ストレス反応が低減する可能性が示唆
された。 -
高等学校教諭の生徒指導領域における教職スキルの自己評価尺度の作成
森川 智恵美, 立元 真
宮崎大学教育学部附属教育協働開発センター研究紀要 28 9 - 18 2020年3月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:宮崎大学教育学部附属教育協働開発センター
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中島寛,髙橋智子,加藤博之,東迫健一,立元真
宮崎大学教育学部紀要 ( 94 ) 129 - 138 2020年3月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
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高等学校教諭の生徒指導領域における教職スキルの自己評価尺度の作成
森川智恵美,立元真
宮崎大学教育学部附属教育協働開発センター研究紀要 ( 28 ) 9 - 18 2020年3月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
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中学生に対する抑うつ予防プログラム -コンパクトな介入プログラムの試み-
石川拓弥,東迫健一,立元真
宮崎大学教育学部紀要 93 ( 1 ) 1 - 9 2019年8月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
本研究の目的は,学校現場で導入しやすいコンパクトなサイズの抑うつ予防プログラムを開発し, 実践することで生徒の認知の誤りが修正され, 生徒の抑うつ傾向の低減を図ることができることを検証することであった。2要因混合計画の分散分析の結果, 抑うつの程度, 認知の誤りの程度, 共に時期(pre・post)×群(介入群・統制群)の交互作用が5%水準で有意であり, プログラム実施群では実施前後に有意な抑うつの程度と認知の誤りの程度が減少したことが示された。中程度以上の効果サイズも見出された。
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幼保小接続期における小学校での支援的介入 -養護教諭が行う個別ペアレント・トレーニング-
椎葉恵美子,立元真
宮崎大学教育学部紀要 93 ( 1 ) 74 - 83 2019年8月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
本研究は,小学校入学直後の時期に対応した個別施行のペアレント・トレーニングを構成し,その効果を検証するための以下の仮説を検討することを目的とし,養護教諭による個別ペアレント・トレーニングの効果を2ケースの事例によって示した。保護者の養育スキルでは,事例1についてはおおむね改善がみられたが,事例2では,「上手な教え方」と「上手なほめ方」において改善がみられ,部分的に改善が示された。また,本介入の特色である問題解決法をていねいに実施するプログラム構成にしたことで,すべての事例において保護者のストレス反応を軽減することができた。さらに,保護者の実態・ニーズに合わせた介入を実施したことで,保護者の困り感を軽減することができた。
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母親のメンタルヘルス阻害要因と促進要因 ~メンタルヘルス危機はいつ訪れるのか~ 査読あり
川瀬隆千,立元真,野崎秀正,後藤大士,岩切祥子,坂邉夕子,岡本憲和
宮崎公立大学人文学部紀要 26 ( 1 ) 69 - 77 2019年3月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
0歳から3歳の子どもを持つ母親に対して調査を行い,乳幼児を持つ母親にとってストレスの大きなライフイベント,日常的なストレスイベント,リカバリーイベントを明らかにした。
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中学校教諭の生徒指導領域における教職スキルの自己評価尺度の作成
立元 真 , 東迫 健一 , 冨岡 直美 , 川越 雅彦 , 德田 公威 , 中岡 嵩 , 川口 直
宮崎大学教育学部紀要 ( 91 ) 123 - 132 2018年8月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
中学校教師への質問紙調査をもとに,3つの因子,すなわち,第1因子「生徒への直接的な指導スキル」(17項目),第2因子「保護者と協働するスキル」(17項目), 第3因子「生徒への計画的な指導スキル」(12項目)からなる質問項目を4段階のリッカート法で評価する,生徒指導場面における中学校教師の指導スキルの尺度を作成した。