MISC - 平野 羊嗣
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統合失調症の神経活動異常と神経免疫異常(特集:脳とからだ II. グリアと脳の相互作用) 招待あり 査読あり
平野羊嗣, 加藤隆弘
生体の科学 72 ( 5 ) 434 - 437 2021年
担当区分:筆頭著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:(公財)金原一郎記念医学医療振興財団
<文献概要>統合失調症は,その高い生涯有病率にもかかわらずいまだに原因不明で,病態解明と病態生理に基づくバイオマーカーの確立および治療法開発が急務である。近年,統合失調症患者の脳内のE/Iバランス異常や神経免疫異常が示唆されており,ガンマオシレーションや免疫マーカーの測定が有用なバイオマーカーとして注目されている。本稿では,統合失調症の神経活動異常と神経免疫異常および両者の関連に関する知見と今後の展望を概説する。
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統合失調症患者に対する精神療法: 九大精神科におけるメタ認知トレーニングの試み 招待あり 査読あり
平野羊嗣, 田中裕記
福岡行動医学雑誌 27 ( 1 ) 25 - 29 2021年
担当区分:筆頭著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:(一社)福岡・行動医学研究所
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音声の時間情報に同期するθ・γ帯域神経オシレーションの帯域間相互作用とその障害
田村俊介, 光藤崇子, 平野羊嗣
日本音響学会研究発表会講演論文集 2021 2021年
掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌)
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音刺激への注意は背景γ活動を抑制させ刺激への同期度を高めるか
光藤崇子, 田村俊介, 平野羊嗣
日本音響学会研究発表会講演論文集 2021 2021年
掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌)
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統合失調症におけるトランスレータブル脳指標としてのガンマ帯域オシレーションとノンレム睡眠スピンドル波 査読あり
三輪 秀樹, 平野 羊嗣
日本生物学的精神医学会誌 31 ( 4 ) 190 - 200 2020年12月
担当区分:最終著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本生物学的精神医学会
統合失調症を含む精神疾患の病態生理学的解析および創薬は未だ発展途上である。「精神」を研究対象とする精神疾患研究において,実験動物とヒトとでは多くの差異があることを改めて認識し,研究の方向性を検討し直さなければいけない時期なのかもしれない。米国・国立精神保健研究所は,精神疾患を理解し治療するために,Research Domain Criteria(RDoC)という新たな研究の枠組みを提案している。このRDoCは,カテゴリー別の診断体系というより,遺伝子,分子,細胞,神経回路,行動,生理,自己報告などのさまざまな階層の情報を統合し,それらとヒトの行動および精神障害による異常行動とを照合する試みである。本稿では,統合失調症を「神経回路疾患」という視点で捉え直し,機能障害が想定される神経回路を評価する神経生理学的指標として,近年着目されている聴性定常反応時のガンマ帯域オシレーションとノンレム睡眠スピンドル波を紹介する。これらの指標は,マウスなどの実験動物と臨床研究との橋渡しをするトランスレータブル指標の共通の言語の1つとして,精神疾患の病態生理学的解析および創薬開発に活用されることが期待される。(著者抄録)
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研究者の最新動向 ニューラルオシレーションを軸にした精神疾患の橋渡し研究 脳波国際共同研究に向けて
平野 羊嗣
Precision Medicine 3 ( 12 ) 1158 - 1165 2020年11月
担当区分:筆頭著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌) 出版者・発行元:(株)北隆館
精神疾患の多くは依然としてその原因が不明であり、その中でも重篤な症状をきたす統合失調症は、個人的ならびに社会的な損失が甚大であり、その病態解明は喫緊の課題である。近年、統合失調症をはじめとする精神病の神経生理学的研究が進み、脳波を用いた聴覚情報処理異常の知見に加え、橋渡し研究に有用な、ニューラルオシレーション(神経振動)の異常が注目されている。本稿では主に、統合失調症の聴覚情報処理異常ならびにニューラルオシレーション異常を中心に、同疾患の神経生理学的な知見について概観した。さらに、現在進行している臨床脳波を用いたアジア国際共同研究を紹介し、最後に、ニューラルオシレーションを軸にした今後の統合失調症の橋渡し研究について展望した。(著者抄録)
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【精神科における脳回路研究の最前線】統合失調症患者の聴覚皮質における位相振幅カップリング 脳波研究
平野 昭吾, Nakhnikian Alexander, 平野 羊嗣, 織部 直弥, 神庭 重信, 鬼塚 俊明, Levin Margaret, Spencer Kevin M.
日本生物学的精神医学会誌 31 ( 3 ) 123 - 126 2020年9月
記述言語:日本語 掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本生物学的精神医学会
脳波の周波数は種々の脳機能を表現しており,脳波の異なる周波数間の相互作用は異なる脳機能の相互作用を表現していると考えられている。筆者らは18名の統合失調症患者(SZ)と18名の健常者群(HC)の脳波データの再解析を行い,聴覚野における位相振幅カップリング(PAC:Phase-amplitude coupling)を検討した。PACは40Hz聴性定常反応(ASSR)のベースライン時(ASSRベースライン時)と安静時において算出された。結果として,安静時よりもASSRベースライン時により強いβ/γPACを認め,ASSRベースライン時よりも安静時により強いα/βPACを認めたが,有意な群間差は認めなかった。また,SZにおいてはHCより強いθ/αPACを認めた。HCにおいては右半球よりも左半球にてより強いθ/γPACが認められたが,SZにおいては同様な半球間差を認めなかった。(著者抄録)
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【2020年、精神疾患研究のフロンティア】精神疾患をγ振動で評価する
中西 翔一郎, 平野 羊嗣, 鬼塚 俊明
福岡行動医学雑誌 26 ( 1 ) 28 - 31 2020年6月
担当区分:責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌) 出版者・発行元:(一社)福岡・行動医学研究所
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統合失調症の感覚処理とNeural Oscillation異常:アジア圏における脳波国際共同研究に向けて 招待あり 査読あり
中村 一太, 鬼塚 俊明, 小池 進介, 中島 振一郎, Hsieh Ming H, Kwon Jun Soo, 尾崎 紀夫, 笠井 清登, 平野 羊嗣
日本生物学的精神医学会誌 31 ( 1 ) 20 - 24 2020年3月
担当区分:最終著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本生物学的精神医学会
統合失調症における感覚処理障害を反映する指標として,脳波を用いた事象関連電位について多くの知見が蓄積されてきており,近年ではトランスレーショナルリサーチに有用なNeural Oscillationの異常も着目されている。本稿では主に,聴覚処理障害およびガンマ帯域のNeural Oscillation異常を中心に,統合失調症の神経生理学的な知見について概観する。さらに,現在進行している脳波領域のアジア圏での国際共同研究を紹介し,今後の統合失調症の研究について展望する。(著者抄録)
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小池 進介, 森田 健太郎, 植松 明子, 北島 和俊, 平野 羊嗣, 笹林 大樹, 高橋 努, 高柳 陽一郎, 佐久間 篤, 岡田 直大, 吉野 伸哉, 上野 雄己, 松本 和紀, 鬼塚 俊明, 鈴木 道雄, 笠井 清登
日本生物学的精神医学会誌 31 ( 1 ) 12 - 19 2020年3月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本生物学的精神医学会
これまでのMRI多施設共同メガスタディで,統合失調症脳病態について一般化可能性のある結果が得られるようになってきた。しかし,これらの共同研究のほとんどは欧米諸国から発信されてきた。アジア精神病MRI研究コンソーシアム(ACMP)は2018年に立ち上げ,2019年現在,14施設が参加を表明している。アジア諸国で多施設共同MRI研究を行う意義として,生物学的類似性,大きなサンプルサイズ,小さい違法薬物の影響,似た医療環境・社会学的背景,精神科医と研究者の距離の近さ,が挙げられる。予備集計では,初回エピソード精神病700名および健常対象者1,000名のT1強調画像が解析可能である見積りである。大規模データに対応して,データベースと前処理パイプライン,倫理的配慮に関する管理体制,研究者間コミュニケーションの促進を構築してきた。今後,統合失調症の生物学的基盤を新たに見いだし,バイオマーカー候補を臨床応用できることを期待している。(著者抄録)
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【精神医学の科学的基盤】システム神経科学からみた精神医学の基盤 神経生理学と精神医学 脳波、誘発電位、そしてγ振動と、精神疾患の原因に迫りつつある生理学の現状
平野 昭吾, 平河 則明, 平野 羊嗣, 鬼塚 俊明
精神医学の基盤 4 ( 1 ) 118 - 126 2020年1月
記述言語:日本語 掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌) 出版者・発行元:(株)学樹書院
脳波は,その歴史は古いが,神経活動由来の動的な電気活動をミリ秒単位で測定することが可能であり,意識障害,てんかん,睡眠などの臨床においては欠かすことのできない臨床検査として現在でも非常に重要な意義を有している。精神医学研究においても,脳機能を比較的手軽に測定できるツールとして脳波は利用され,数多くの重要な知見をもたらしてきた。本稿では,精神医学における神経生理学的研究の現状を述べる目的として,脳波の応用として測定される,誘発電位や事象関連電位,さらにはγ(ガンマ)振動を含むニューラルオシレーションを指標としてこれまでに得られた重要な知見を概説する。脳波の生成機構はまだ多くの謎に包まれているが,コンピュータの進歩に伴う測定および解析技術の発展により急速に数多くの知見が得られつつある。新しい知見が精神医学研究に応用されることで,ブレイクスルーが起きることが期待される。(著者抄録)
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統合失調症におけるトランスレータブル脳指標としてのガンマ帯域オシレーションとノンレム睡眠スピンドル波 査読あり
三輪秀樹, 平野羊嗣
日本生物学的精神医学会誌 31 ( 4 ) 2020年
掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌)
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精神医学の科学的基盤 神経生理学と精神医学 脳波,誘発電位,そしてγ振動と,精神疾患の原因に迫りつつある生理学の現状
平野昭吾, 平河則明, 平野羊嗣, 鬼塚俊明
精神医学の基盤 ( 4 ) 2020年
掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌)
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なぜアジア諸国で共同研究が必要なのか? 精神病のMRI研究に関するアジアコンソーシアム(ACMP)
小池進介, 小池進介, 小池進介, 小池進介, 森田健太郎, 森田健太郎, 植松明子, 北島和俊, 平野羊嗣, 笹林大樹, 高橋努, 高柳陽一郎, 佐久間篤, 岡田直大, 岡田直大, 吉野伸哉, 上野雄己, 松本和紀, 鬼塚俊明, 鈴木道雄, 笠井清登, 笠井清登, 笠井清登, 笠井清登
日本生物学的精神医学会誌(Web) 31 ( 1 ) 2020年
掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌)
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統合失調症の感覚処理とNeural Oscillation異常:アジア圏における脳波国際共同研究に向けて 査読あり 国際共著
中村一太, 鬼塚俊明, 小池進介, 中島振一郎, Hsieh Ming H, Kwon Jun Soo, 尾崎紀夫, 笠井清登, 平野羊嗣
日本生物学的精神医学会誌(Web) 31 ( 1 ) 2020年
担当区分:最終著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌)
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統合失調症患者の聴覚皮質における位相振幅カップリング -脳波研究-
平野昭吾, 平野昭吾, Nakhnikian Alexander, 平野羊嗣, 平野羊嗣, 織部直弥, 織部直弥, 織部直弥, 神庭重信, 鬼塚俊明, Levin Margaret, M Spencer Kevin
日本生物学的精神医学会誌(Web) 31 ( 3 ) 2020年
掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌)
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精神疾患のバイオタイプの過去・現在・未来への展望: 眼球運動による精神疾患のバイオタイプ分類は可能か
森田 健太郎, 三浦 健一郎, 藤本 美智子, 宍戸 恵美子, 高橋 潤一, 山森 英長, 安田 由華, 工藤 紀子, 畦地 裕統, 平野 羊嗣, 越山 太輔, 岡田 直大, 鬼塚 俊明, 尾崎 紀夫, 笠井 清登, 池田 学, 橋本 亮太
日本臨床精神神経薬理学会・日本神経精神薬理学会合同年会プログラム 50 - 50 2019年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
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平野羊嗣
医学のあゆみ(脳機能イメージングの最前線) 270 ( 9 ) 776 - 783 2019年8月
担当区分:筆頭著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:医歯薬出版
近年、脳波(EEG)や脳磁図(MEG)を用いた神経生理学的検査や解析技法の進歩に伴い、精神現象を神経生理学的に捉えようとする研究が盛んに行われるようになり、精神科領域においてもあらたな知見が数多く報告されている。たとえば、統合失調症者では感覚フィルタリング機能を反映しているとされる聴覚P50のゲーティング機構の障害や、前注意過程あるいは予測符号化の指標とされる聴覚ミスマッチ陰性電位の異常、相貌認知に関わるN170成分の異常などが報告されている。さらに最新の研究では、統合失調症の脳内における興奮性ニューロンと抑制性介在ニューロンの相互バランスの破綻を反映しているとされる。高周波ガンマ(γ)帯域の神経同期活動の障害が多く報告されており、同様の現象が疾患モデル動物でも確認されている。このような神経生理学的アプローチを用いて精神現象を抽出する試みは、"神経現象学"とよばれる分野にも通じ、今後さらに発展していくであろう。本稿では、これらの知見を概説するとともに、今後の統合失調症研究の展望についても言及した。(著者抄録)
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【幻覚・妄想研究の現在】統合失調症の幻聴の神経基盤 脳構造・脳機能研究
鬼塚 俊明, 中村 一太, 平野 昭吾, 平野 羊嗣
日本生物学的精神医学会誌 30 ( 2 ) 73 - 78 2019年6月
担当区分:最終著者, 責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本生物学的精神医学会
幻聴が起こるメカニズムは単純なものではないが、症状と関連のある脳構造・脳機能研究を行うことは重要と思われる。本稿では我々が行った研究で、幻聴の重症度と関連のあった脳部位・脳機能研究での結果を紹介する。脳構造研究では、外側側頭葉の亜区域を手書き法にて測定し、体積を測定した。幻聴のある患者群で左の上側頭回は著明に小さく、左中側頭回、左下側頭回でも有意に小さいという結果が得られた。すなわち、幻聴のある患者群は幻覚のない患者群に比べ、左半球優位(特に上側頭回)に体積減少があることが示唆された。声に対するP50mの研究では、左半球の抑制度と幻聴のスコアに有意な正の相関を認めた(p=0.44、p=0.04)。つまり、人の声に対するフィルタリング機構の障害が強い統合失調症者ほど、幻聴の程度が重度であるということが示唆された。さらに、聴覚定常状態反応の研究では、80Hzのクリックに対する左半球のASSRパワー値と幻聴の重症度に有意な負の相関を認めた(p=-0.50、p=0.04)。つまり、左半球の80Hz-ASSRの障害が強い統合失調症者ほど幻聴の程度が重度であるということが示唆された。今後、脳構造・脳生理学的研究は統合失調症の病態解明のアプローチとして一層重要になっていくと思われる。(著者抄録)